大学当初、親元を離れて東京に来た私は一人暮らしのやりくりに困っていた。


けして裕福ではない実家。お金のかかる音楽大学に行かせていただいたというだけでもう頭が上がらない。これ以上頼れない。学費を出してもらうかわりに、仕送りはいらないと伝えたものの大学生活がはじまりすぐに後悔する。


音楽をしっかり勉強するために入ったから、イメージしていた遊びにバイトに大忙しな大学生活とはかけ離れていた。毎日練習にあけくれていた。まわりは良い意味でライバルだらけ。つまり、余裕などなかった。

大学では夏休みに入っても朝から夜まで練習を頑張っている学生で溢れていた。私もそんな一人だった。


そんなある日、突然体調不良になり点滴をうけることに。遊びも休みも我慢していた自分、これではいけないなと心機一転。親に頭を下げ、家賃も一部払ってもらうことにした。休憩も必要、たまにはのんびりしなきゃとバイトの時間を減らした。


実は夏休みまであまりコースの皆と馴染めていなかった私。必死になりすぎていた。時間の使い方をかえてから、気付いたらまわりに人がいたことに気付く。


地方出身の同級生が送られてきた食材をわけてくれたり、先輩に奢っていただいたり、節約術を共有し合ったり。自分だけじゃなく、まわりも頑張ってる!ということでその後もけして贅沢は出来なかったが、充実した大学生活が続いた。


お金がなくても、心が満たされていると不思議とパワーが湧いてくるものだ。